「家=門/出」
「門」
図形あわせし小空間
線がつながり 面仲間とし
安寧つむぎだし さらけだし
ついには卵となる
割れるとき永久になしと
たかくくる
小さき男 虚弱な女
くつろぎの場にて燃えたぎる「凡」
        冷えたぎる「契」
        繰り返す「愚」
        盛り返す「憎」
混ぜ合わさる言の葉 散りゆくに
地と知れず 床としれずに
折り重なる
火をつけられし枯れた葉は
たちまちに失する
軽い植物ども 数ばかり多きこと
唯ひとつの 誉れごとなり
さあ ここから出ようじゃないか
出るのはあなたか はたまた私
出るのはわたしか はたまた貴方
すり減った薬箱 滑りを失念いた木床
開けば波よせる書籍 ぬくもり握る鉛筆
これ総て私のもの我がものと主張する
男 怒り果つる 女 怒り果つる
窓にうつるは代替者のいない 直接戦争
拳出発 己に帰する
包丁旅たち テレビに帰する
動線に動揺 怒濤のごとくにひしめきあう
ぶつかる念が すりへりしころ
どちらともなく なんとなく
離れて 引き上げ 自室へと
小空間より狭空間
個人主義 Than 共同生活
孤立して無人島に居座って耽る
あれこれや
天井に見ゆる 暴れの痕跡
壁に見ゆる 二方の軌跡
床にみえる 静寂の遺跡
見ゆる 反抗のあと
庭には 枯れた木の枝が
鉄の格子に見えてきて
閉じこめられる
「小休止 居間」 和解にすりよりし 目二つそして目二つ
間接の隆起いや増すのを抑え
理知表出をアピールし
電球の光 いじり もてあそび
燃えかすを ひろう
拾うあいだに 庭の外の季節は
雨のふる日 木を養いて
陽光の注ぐ日 皮膚に危機を供える
吹雪ふぶく 雪奇形の玉どもが
家屋の皮膚を痛めつける
柱は盤石にみえて薄弱
頭は自明のごとくに薄弱なり
弱々連綿と受け継がれし夫婦
その日も交わらぬ曲がった平行線
ぶつかれども つながらず
迫っていても その距離は
自らの目が顎を視野にはいらぬと同じ
近くにあっても様相 いざ知れず
「出」 門よりでれば祝い事
門を破れば
革新非礼の 板挟み
片の門と片の門は開いたまま
閉じる気配は 当分にない
されどもそれは 二方以外の
誰もが自由な出入りを許可される
仲が直って門閉じる
力の飛び交いおさまるが
人の進入 拒絶する
閉じて 己の世界をまもれ
開いて 己の心を飛翔させろ
南京錠はしばし待て